昨日、一昨日と、住宅ローンに関する記事を、僕の体験を交えて、書いてきましたが、昨日見た、AERAのニュースで、マンションを買った時期と、当時の年収が、僕とほぼ同じ人の話題が出ていたので紹介します。
ここに登場する山田さんと、僕の違いは、彼は所帯持ちで、僕は独身だった点と、そして年収は、僕のほうがわずかに多く、当時、450万円ほどでした。少し長くなりますが、山田さんの話を転載します。
53歳の山田辰夫(仮)さんがマンションを購入したのは、1999年35歳の時。当時の年収は420万円で、妻と4歳の長男、2歳長女の4人家族で2LDKの賃貸アパートに暮らしていた。手狭な自宅に悩んでいたところに目にしたのが不動産の広告。
“頭金ゼロ、返済額は家賃並み”のキャッチフレーズにひかれ、いざとなったら売却できるという営業マンの言葉も魅力的だった。そして、池袋まで30分の私鉄駅から徒歩15分の3LDKマンションを、3500万円で購入した。
広くなった自宅に満足して暮らしていた山田さんだが、風向きが変わり始めたのは購入から10年が経った頃。変動で借りていたローンの金利は2%から4%に。月々の支払いはおよそ1万7000円上がり、ボーナス払いも15万円上乗せされた。一方で、購入時には増えると目論んでいた給料は、長引く不況で期待したほどは上がらなかった。
そんな山田家の家計にさらなるダメージを与えたのが、2011年に起きた東日本大震災だ。東北に工場があった山田さんの勤め先はもろに震災の影響を受け手、業績不振に。ボーナスがカットされてしまう。わずかばかりの貯蓄を切り崩す生活が始まり、2人の子どもたちが大学に進学するころには、住宅ローンと教育ローンの“ダブルローン地獄”に陥ってしまう。
ついにボーナス返済が不可能になった山田さんは銀行に相談。事情を理解したローン担当者によって、子どもが大学を卒業するまで、元金の返済の猶予を受け、利息分の支払いだけに減額してもらうことができた。
それでも悩みは尽きない。元金の返済猶予の影響で、70歳の完済予定は73歳にずれ込んでしまう。
定年を65歳までとして73歳までの8年間のローンを無事に返済することができるのだろうか。考えるだけで不安になる。もう一つの悩みが建物の老朽化だ。築18年のマンションはあちらこちらが傷み、修繕積立金だけでは十分な修繕ができなくなっている。
しかし、経済的に苦しいのはどの家庭も同じ。修繕積立金の値上げは難しい。その結果、十分な修繕ができないため、マンションの価値の低下が予想される。そうすると、資産に余裕のある人は価値が下がりきる前に、別のマンションへと移り住んでいく。
代わりに引っ越してくるのは、より所得の低い人だ。修繕積立金の増収は期待できない。マンションの老朽化と価値下落のスパイラルが山田さんを苦しめる。その不安感から、山田さんは息苦しさで目覚めることもある。医者からは、不安障害の疑いがあると言われたそうだ。
以上が、その記事内容ですが、この山田さんと、マンションを買った年が同じだったので、僕には、その大変さが痛いほどわかります。さらに彼は、二人の子供を育てていますからね。
僕は、一番苦しいときは、節約を徹底して乗り切りましたが、子供が二人もいては、節約にもおのずと限度というものがあります。息苦しさで目覚めることもある、というその気持ち、察するに余りあります。
老後の備えはおろか、今の窮状をやり過ごすだけでいっぱいいっぱいでしょう。
さらには、「元金の返済の猶予を受け、利息分の支払いだけに減額してもらうことができた」のは、良かったのですが、その分、住宅ローンの完済は先送りになり、老後生活に影を落とします。
ただ、僕と違い、二人の子供が、助けになる可能性はあります。教育費はかかったかと思いますが、一番苦しい時期は乗り越えたのではないでしょうか。
この山田さんの話は、長期の借り入れというものがいかにリスクであるかがわかる、典型的な例ではないかと思います。