「宗教は人間の妄想を商品化しているだけです。」と、
その老師は言いました。
あ、老子じゃなくて、老師、ね。
その老師とは、
テーラワーダ仏教を、
日本に伝えた人。
摩訶不思議を遠ざけ、
大乗仏教の妄想を打ち砕き、
ありのままに生きることを説く、
本来の仏陀釈尊の教えは、
おそらく、
こちらのほうが近いのでは、と。

後世、
仏教が大仕掛けになるのは、
信奉する人たちの妄想が加味されたからではないかと、
僕などは思っています。
まあ、
これは、
キリスト教をはじめ、
他の宗教でも言えて、
初期の教えは形骸化され、
どんどん尾ひれがついて行ったりします。
ただ、
無論、
この老師の見解も、
一つの視点に過ぎず、
仏教の本質をとらえるよすがにはなるでしょうが、
そこから先は、
各人が追及していく道。
ポッカリとあいている虚ろな空間
僕たちはよくそこで話をしたものだ
その空間を何で埋めればいいのだろう?
最後の穴ボコを
どうやって埋めればいいのだろう?
壁を完成させるにはどうすればいいのだろう?
エンプティ・スペーシズより。