今は早期リタイアをして、自宅でまったりと仕事をしている身ですが、ときどき会社員時代を振り返ることがあります。そして疲れていた自分と、過労で事故を起こしてしまう人のことなどを考えてしまいます。

たとえば、長距離トラックや長距離バスの事故を聞くたびに、その原因のかなりの割合を占めるのは過労ではないかと思ってしまいます。

どんなに眠くてもハンドルを握らなければならない、とか、蓄積した疲労が本人の自覚以上に進行している、とか、そうした負の要因が背後に隠れているのではないでしょうか。

僕の前職はビジネスホテルの設備管理全般で、トラックドライバーやバスドライバーほどの激務ではありませんでしたが、24時間勤務であったため、ときどき眠くて仕方がないことは何度かありました。

どれほど体が疲れていても、例えば深夜に、配管にピンホールが開き、温水が漏れているなどの不具合が発生すれば、即座に対応しなければなりません。

また、新宿という場所柄のため、泥酔客もそれなりにいて、おう吐物の処理は年間を通して数回はありました。おう吐物以外には糞尿関係ですね。おう吐物や糞尿の対応というのは、大変ではありますが、技術は要らないため、精神的負担はあまりありません。

大変なのは技術を伴う作業です。特に夜は一人勤務となってしまうため、技術的な問題は一人で対応しなければなりません。熱帯夜にエアコンが効かない、などもたまにありました。経費削減のため、耐用年数を疾うに過ぎたエアコンを使っていたためです。

空き室があればそちらに移動してもらってゆっくり対応することもできますが、そういうときに限って満室だったりします。どうにもならないときはダイキンの技術者を呼びますが、可能な限り自分で直します。

まあこんな話をしているときりがないのですが、24時間勤務は、気を抜くことができませんでした。そして少しずつ、疲労が蓄積していったのだと思います。

鬱にこそなりませんでしたが、体が重くて動かないときは何度もありました。そのたびに、自分は定年まで無事故でこの仕事をやり遂げられるだろうかと不安になったことを覚えています。

父の介護が必要になり、定年まで3年と数か月を残して早期リタイアしました。ホッとしました。少なくとも、仕事で、事故を起こさずに会社勤めを終えることができたと思ったからです。

体力や気力には個人差があり、一概には言えませんが、過労やストレスを抱えながら働いている人が大半ではないでしょうか。

過労死ほど、馬鹿らしいものはありません。どれほど働いても、それに対するリターンはたかが知れています。

僕が働いていたビジネスホテルは小さいながらも福利厚生はしっかりしていました。有給休暇もかなり自由に使えました。そうしたブラックではない企業ですら、従業員はそれなりに疲れています。

ましてやブラック企業であれば、その社員はどれほど疲れていることでしょう。しかしそんな会社でも、しがみつかなければならない人もいるでしょう。

人の考えはそれぞれですからどうしろとは言えませんが、過労死するくらいならケツをまくって逃げろ、と言いたいですね。お金も大切ですが、それ以上に命や時間のほうが大切ですから。