はじめに言っておきますが、
僕は西郷隆盛は嫌いではありません。
尊敬に値する人物だと思っています。
ただ、大河ドラマのせごどんは、
綺麗に描き過ぎていました。
実際の西郷さんは、
あれほど高潔なお人好しではないと思っています。
政治的な人なので仕方ない面もありますが、
御用盗については、黒歴史でしょう。
大河ドラマとしてしっかりと描くのであれば、
益満休之助(ますみつ きゅうのすけ)と
伊牟田尚平(いむだ しょうへい)を、
取り上げないのはおかしいのです。
日本が大好きで有能な通訳でもあったヒュースケンを斬殺したのも、
西郷配下の上記の二人。
御用盗での残忍なふるまい、
あ、御用盗というのは、
恭順姿勢の徳川慶喜を戦に引っ張り出すために、
組織したテロ集団で、
放火、強盗、暴行、殺人などやりたい放題。
そのテロ集団を指揮していた西郷の冷徹さを、
しっかりと描いてこその大河ドラマでしょうに。
その点、鎌倉殿の13人は、
純朴だった北条義時が、
徐々に顔つきが悪くなり、
次第に躊躇なく邪魔者を殺せる人格にまでなるところを、
丁寧に描いていました。

大河ドラマの出来としては、
月と鼈の差でした。
まあこれは、
せごどんを演じた鈴木亮平がダメで、
北条義時を演じた小栗旬が良い、
ということでは、勿論ありません。
どちらの俳優も、
与えられた役を精一杯演じ切ったと思います。
おそらく、ですが、
西郷隆盛は、まだ最近の人というか、
黒西郷のところは、見せたくなかったのでしょう。
一方、北条義時は鎌倉時代草創期の人物で、
ありのままに描きやすかったのでしょうね。