今から10年前の今頃、
何とも言えない心細さを感じていました。
父は入院中で、
病院からは退院の圧力。
実家を建て替えるための借家住まいで、
母もひざを痛めているため家事はできず、
僕はと言えば、
往復4時間の通勤時間での会社勤め。
冬の季節の通勤は、
家を出るときは、真っ暗。
吐く息は白く、
体が寒い以上に、
心が、
寒さで震えていました。
電車で揺られるうちに、
外が明るくなってきて、
また、長い勤務が始まるのだな、と。
働きながらの介護だけでなく、
54歳で背負う新たな住宅ローンの不安。
それ以上に、
弱っていく両親を見ながらの、
何とも言えず心細い心境。

あれから、
10年が経ったのだと思い、
僕の前から、
父が消え、
母が消え、
今は、
一人。
熱が出て、
咳をしても、
一人、
です。