山陽道での多重事故が報じられた時、真っ先に頭に浮かんだのが、過労、の二文字でした。

 運転していたのが、50代の女性とのことでした。
 この容疑者は逮捕前、警察に「ぼーっとして運転していた」と話していたようですが、このぼーっとしてしまうということは、僕も、仕事中、ときどき経験しています。
  
 僕の仕事は、ビジネスホテルの営繕及び設備管理でしたから、すぐに大きな事故につながるということではありませんでしたが、ボイラーを扱ったり、高いところに上ったり、また、地下ピットで作業したり、天井裏を這い回ったりするので、それなりに危険は伴いました。通常は、緊張が眠気を遠ざけますが、それでも、疲れがたまってきたり、寝不足であったりすると、集中力は途切れがちとなります。

 トラックドライバーの方は、疲労が蓄積しすぎると、運転中に、意識が飛ぶ、といったこともあるようです。

 まだ、この50代の女性ドライバーが、過労運転であったかどうかはわかりませんが、その可能性は高いように思います。トラック業界は、休みも少なく、長時間勤務が常態化していると聞きます。

 過労で働いている人は、もちろんトラック業界以外にも、大勢いるとは思いますが、過労が事故につながり、本人だけでなく、他者も巻き添えにしてしまうところに、ほかの業種以上に、悲劇性を感じてしまいます。

 この50代女性は、気丈な頑張り屋さんだったのかもしれません。生活を背負い、ストレスを背負って、頑張っていたのかもしれません。もしかしたら、借金も背負っていたかもしれません。過労でも、ハンドルを握らなければならない事情があったのかもしれません。

 すいません。少し、感情移入しすぎました。だけど、きっとまじめな人だったような気がしてなりません。

 トラックドライバーに限らず、過労から事故や病気を引き起こしてしまう人たちというのは、総じて、まじめです。

 僕は、もうこれ以上仕事を頑張れないという時は、可能な範囲で、手を抜いていました。それを、身を守るすべであると、自分を納得させてもいました。

 その考えは、今でも間違っていなかったと思っています。