ジャック・アタリ氏は、アフリカで、低所得者層を対象に、自立支援のために、プラネット・ファイナンスという融資を実践していた人です。

マイクロファイナンスと呼ばれ、お金を貸すことが第1で、利潤を得ることが目的ではないと位置づけられ、貧困問題への大切な手段となっていました。

そのジャック・アタリ氏のこの夏に発売された本はまだ読んでいませんが、タイトルは、「2030年ジャック・アタリの未来予測 ―不確実な世の中をサバイブせよ!」。

21世紀の歴史――未来の人類から見た世界」は2008年の発売で、こちらも未来予測の本でした。


第1の波は、アメリカ支配の崩壊。

歴史上の帝国とは異なり米国が消滅する訳ではないが、唯一の国ではなくなる。米国は、インフラ整備、借金の返済、保護主義などで、内向きになっていく。まだ20年から30年かかるが、どの国も米国にとって変わることは出来ない。
 
第2の波は、多極化秩序。

10カ国から20カ国が、世界を統治する。G20(世界金融サミット)構成国など。インドネシア、トルコ、オーストラリア、アラブ世界の国という言葉もあった。現在は、多極化への移行期間。協調体制は、危機の後。例え強い国になることが出来たとしても、国家は、グローバルな市場よりも弱い。しかし、いずれ失敗に終わる。

第3の波は、グローバルなルールと統治が必要になる。

強力な市場の力に立ち向かわなければならない。協力し合っても、合意することは困難。超帝国が確立する。市場そのものが帝国となり、様々なものが2040年に始まる。全てが民営化される。エンターテイメントは、人の目をそらすため、また、保険は、リスクから守るためにある。

インターネットやナノテクノロジーといったハイテクが、人を監視することになる。食肉の流通、銀行の透明性、資金の流れなど、ものを監視することが不可欠。個人を監視するという意味ではないが、監視国家にならないようにすることが肝要。

第4の波は、超紛争。

武器が開発される。海賊行為や軍事面の紛争が起きるが、これを避けなければならない。

ノマド(Nomad)と呼ばれる遊牧民族が増え、大きな役割を果たす。島国ほど、ノマドと無縁な国はない。人類の歴史は、ノマドの歴史とも言える。常に移動していた。人類が定住し始めたのは、僅か5000年位前のこと。個人が尊重される最初の自由は、移動の自由だった。現在は、携帯電話が多く使用されているが、携帯だと、その人が何処に住んでいるのかが分からない。人が、ノマドとして見られ始めている。

超ノマド : 世界中の何処へでも行ける人。1000万人から5000万人。
下層ノマド: 貧しく、生き延びるために移動する。30億人。生れ育った所に住んでいる人は、40年後55億人。
バーチャル・ノマド: テレビを見ることなどの仮想移動をする、中間層。
超帝国のガバナンスは、誰にも分からなくなる。

第5の波は、超民主主義。

それまでとは別の統治方法や、超紛争に代わるものとして、利他主義がある。2060年頃には、人は、他人を援助することで、自分が幸せになることに気付く。トランス・ヒューマンという言葉で、例えば、自分が病気にならないためには、病気をなくしていかなければならない。世界がサービス業化されていく。真の賢さは、他人を愛する心であり、博愛精神が世界に広がる。

以上が、「21世紀の歴史(未来の人類から見た世界)」の、おおよその要約ですが、ジャック・アタリ氏はきわめて高い知性と先見性があるものの、神でも預言者でもないので、そのようになる可能性は何とも言えません。

ちなみに、タイトルの、No one knows what the future holdsは、「未来に何が待ち受けているかは誰もしらない」という意味です。

そう言えば、
2ちゃんねるなどでは、未来から来たという人の書き込みなども見られるようです。

もちろん、それを信じるか信じないかは、あなた次第です。