このように答えたのは、質問してきた相手がいい年をした60間際の男だったからです。せっかくの退職金を、下手な株式投資で溶かしてしまうのはかわいそうだという、僕なりの配慮です。
これが、質問してきた相手が30代とかなら、答えは変わります。種銭をつくりながらしっかり勉強し、良い会社に集中投資しなさい、と答えるでしょう。
僕の基本は、分散投資ですが、それは自分の年齢を考えているからです。そんなに大きく勝とうとは思っていません。ただ、負けない投資は心がけています。その結果が、だいたい年利9から10パーセントほどの利回りです。
ただ、これだけははっきりと言えますが、株式投資は、宝くじや馬券を買うよりははるかに良いです。
最悪なのは、年末ジャンボやロト6などの宝くじで、これはお金をどぶに捨てる行為です。幻に大切なお金を投じる人は、絶対に豊かにはなれません。
なぜなら、宝くじは絶望的な確率であり、それゆえに、「愚者の税金」と呼ばれるのでしょう。宝くじを買う人は、お金以上に大切なもの、すなわち、合理的な思考をどぶに捨てています。
合理的な思考ができない人は、あらゆるところで、騙されます。残念なことですが、この世界には、あまりにも多くの騙しの網が張り巡らされています。
宝くじよりも馬券のほうがいくらかましです。その理由は、競馬を研究すれば、勝ちやすくはなるからです。自助努力が、多少は報われる世界です。
僕自身、万馬券を3回取っていますが、僕なりの勝算があって買った馬券なので、そうした読みができる点は、宝くじよりはましです。ただ、長く続けると、負けがこんでくるのはほぼ間違いないでしょう。
そうしたモノに比べれば、株式投資ははるかに勝ちやすく、利益を生みやすいと言えます。
ただ、いい年をしてからの株式投資であれば、慎重以上の臆病さで、取り組むのが良いと思います。その質問してきた人に最後に僕が付け加えたのが、「投資信託は買わないように」でした。