女性が悪女に変貌する姿は、たいがいの男にとっては、非日常でしょう。

草薙君の「嘘の戦争」以来、民放で継続的にドラマを見ることは久しくなかったのですが、松本清張の黒革の手帳がドラマ化されたため、見ています。

主役は、武井咲さんで、このドラマで、彼女の女優としての株はずいぶん上がったようです。

主役ではありませんが、仲里依紗さんも、なかなかの演技を見せています。

以前、NHKの「ひよっこ」がつまらないという話をしましたが、これは「ひよっこ」がダメと言うよりも、15分枠の連続ドラマであるがための、展開のつまらなさではないかと、思い直しました。

このことについては、以下の記事で言及しています。

ひっそりと生きることの幸せ

何しろ、NHKの朝の連続ドラマを見るのが初めてだったので、仕方のない誤解です。そうは言っても、今でも、「ひよっこ」はつまらないと思っていますが。


さて、黒革の手帳ですが、武井咲さんも仲里依紗さんも、元は銀行の派遣社員でした。

そこからなり上がっていくのですが、まじめそうに見えた二人が、どんどん悪女になっていく姿が、興味深いのですね。

「この二人、派遣社員のときは仕方なく猫かぶってたんじゃね」というくらい、悪女に目覚めていきます。

まさに、眠っていた悪女の部分が目を覚ます感じです(怖いです)。

二人の悪女の違いは、武井咲さんの場合は、自覚的な悪女の覚醒であり、仲里依紗さんの場合は、無自覚な悪女の覚醒です。無自覚な分だけ、仲里依紗さんのほうが危ない気もします。

二人が若干のタイムラグで悪女へと覚醒していくのですが、そこには常に、自己顕示欲と金銭欲が絡んでいます。

僕が今見ているもう一つのドラマは、「ウツボカズラの夢」です。

こちらの主役は、志田未来さんですが、こちらは、継母に家を乗っ取られて、実母の知り合いの家を頼り、自分の力だけでなんとか居場所を見つけようとするある意味けなげな話なのですが、生き抜くために、かなり狡猾とも言える策を弄します。

しかし、彼女は、とにかく生き抜くことに懸命で、ここでもお金が、重要なファクターになっています。

このドラマ内での志田未来さんの言葉、「思いつく夢の大きさと持っているお金の多さは比例する」は、印象的でした。

彼女はまだ、悪女にまではなっていないようには思うのですが、今後の展開次第では、悪女へと変貌するのかもしれません。

主役の志田未来さんよりも、継母役の玄理さんのほうが悪女っぽいし、脇役で出ている国生さゆりさんも、かなりの悪女です。悪女でないのは、少し抜けている専業主婦の大塚寧々さんくらいでしょうか。


女性が悪女に覚醒する姿は、怖くもあり、同時に魅力的でもあります。

今日はなんだか、中島みゆきさんの「悪女」を聴きたくなりました。