下の英文はその中からの抜粋ですが、24歳の女性従業員が長時間労働について家族に愚痴をこぼした後に自殺した、とあります。
そしてそのあとに、outrage という激しい言葉が出てきます。アウトレイジとは、「激しい怒り」のことです。北野たけしさんの映画に、アウトレイジビヨンドというのがありましたね。
それはそうと、「彼女の死に対する大衆の激しい怒りが電通のCEOを1月に辞職に追いやった」と続きます。
Cucekというのは人の名前で(テンプル大学の教授のようですが)、「電通で働いていた彼女の死は、仕事がいかにして多くの日本人労働者を孤立させているかの一例である」と言っています。
そのあとが強烈ですね。
「彼女は自分の家に住んでいたのではない。会社の寮にいたのだ。そしてそこには、話しかける相手は誰もいなかった。働け、働け、働けと、彼女に重圧をかけていた場所から逃げ出すことのできるいかなる手段もなかったのだ」
下記の例文を簡単に意訳してみましたが、「you must work」が、3回も出てくるのは強烈です。
The 24-year-old female employee committed
suicide after complaining to family about the long hours she had to work
Public outrage
over the woman’s death led to the resignation of Dentsu’s CEO last January.
Cucek says the woman who killed herself while working at Dentsu is an example of how work isolates many Japanese workers.
“She was living not at home, but in a corporate dormitory. So there was
never anybody to talk to. Never any way of her breaking out of the environment
where ‘you must work, you must work, you must work,’ was being pressed upon
her.”
高橋まつりさんは、確か東大を出ていたかと思います。そこまでは勝ち組でも、そのあとが過労死では、たまったものではありません。
僕はそもそも、勝ち組とか負け組といった言葉が好きではありません。人は、簡単に比べられるものではないからです。
僕の場合は、過労死する前にトンズラするタイプですが、まじめな人は逃げずに頑張ってしまうのでしょう。「命より大切な仕事などない」のですから、つらいときには逃げましょう。
逃げることは、恥ではありません。
私は彼女のように長時間労働を強いられているわけではないのでケースは違いますが、50歳を過ぎたこの歳になってから、業務に対する職場からの要求が激増し、職場側は人件費負担の多い正規職員潰しに走っています。
安く雇えるパート職員だけにしたい職場の意向が見え見えだけど、かろうじて労働組合が私たちの定年までの身分保障を維持できるように頑張ってくれています。
とは言っても、労働組合の長ですら、「そんなに大変なら自分の体と相談して、パートになればいいだけだ。」と言い、結局は私たち正規職員が「これ以上は無理だ」と音を上げるのを、待っているのです。
長年職場のために骨を折ってきても、最後には給料泥棒のように言われて、こういった顛末になるのは悲しい現実です。
私はここ2、3年の間に随分と体も弱り、病気がちになりました。病気をしてもきちんと治療し復帰すれば職場での立場には何の問題もないけれど、賃金面のことだけで、情けのない職場にしがみついている自分がイヤになり、もっと人間らしく生きたいと、この頃特にそう思います。