NHKの番組で、作詞家の松本隆さんが、新宿をぶらぶら歩いているのを見て、新宿に勤めていたときのことを思いだしていました。

飲み屋が多い新宿ですが、僕の勤めるホテルの近くには、新宿ゴールデン街がありました。

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新宿は、本当に面白い街です。

新宿ゴールデン街にある飲み屋で、福岡から上京したばかりの若者と話したことがあります。

若者と言っても、もう20代も後半のように見えました。それでも、僕から見れば十分若者ですが、あとで彼の夢を聞いたときに、不安になり、年を訊いたら30だと言いました。

迷わずまっすぐ新宿、だったそうです。

福岡はどこかと聞いたら、地下鉄空港線の唐人町駅の近くだと言います。

僕も福岡は行ったことがあるので、少しはわかりますが、空港からのアクセスがとてもよかったのを覚えています。

その彼はミュージシャンを目指しているそうで、ときどきストリートでライブをしていると言っていました。
「でもそれは福岡での話で、東京ではまだ」

上京したばかりなので、まだ、勝手がわからないようでした。

今の音楽シーンは、福岡を抜きにしては成り立たないくらい、福岡は音楽のメッカであるイメージが僕にはあります。

広島から上京した矢沢永吉が、横浜で途中下車して、そのまま、彼のサクセスストーリーが始まったのは有名な話です。本当は東京を目指していたらしいのですが、横浜という響きに惹かれたのでしょう。

ビートルズもリバプール出身で、港町ですからね。矢沢永吉も、港町に惹かれたのだと思います。

福岡出身の彼は、飛行機で上京したらしく、途中下車はなかったようです。

番組内で松本隆が歩いていた遊歩道は、僕もよく通りました。そこにかつては市電が走っていたということすら、僕は知りませんでした。

昔も今も、上京してくる若者は、その胸に夢を抱いています。時代が変わっても、それは変わりません。

無数の人の夢を飲み込み、変化し続ける街が新宿で、もうその新宿に通勤しなくなって1年以上になりますが、今度ゆっくりと新宿を歩いてみたくなりました。