65〜74歳は「准高齢者」と区分するよう日本老齢学会などが提言しました。日経新聞の記事では、これまで年金制度などの社会保障で「支えられてきた」年代を見直す、つまり65歳から74歳が「支えられる側」から「支える側」へ回る社会保障制度の抜本的な見直しへの布石ではないかと示唆されています。

上記は、「74歳までは働き続けるのが当たり前の社会へ」という記事からの引用ですが、さらに以下のようなことも言っています。

このような社会になれば、従来「高齢者」になる65歳までは再雇用で働き、その後はリタイアライフをエンジョイする、というコンセンサスがあったものを、今後は74歳まではしっかり働き、引退後、10年前後は引退生活楽しむ、というライフサイクルが一般的、という方向に変わってくるのではないかと思われます。また、支える人が増えることにより年金制度崩壊の危機を回避することもできるという、実は現在の日本において最重要かつ喫緊の課題も解決されることになります。

まあ、言っていることはわかります。

定年延長の話が出ると必ず「これ以上まだ働けというのか」という怨嗟の声が上がります。実際、大学を卒業してから60歳まで40年近くにわたり、満員電車の「痛勤」に耐え、「家族のため」「会社のため」と身を粉にして働いてきた方々からすれば、無事に定年を迎えたのにまた15年も同じ生活を繰り返さなければならないのかと絶望的な気持ちになることでしょう。

まあ、筆者も、絶望的な気持ちになることはわかっているようです。会社勤めが好きな人はいいでしょうが(まあ、ほとんどいないとは思いますが)、そりゃあ、絶望的になりますよ。これはつまり、ゴールを先延ばしされるということですからね。
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僕はすでに介護リタイアしている身なので、もはや社畜生活に戻ることはないのですが、多くの終身雇用を前提として、ライフプランを考えている人にとっては、面白くもない会社員生活は、言ってみれば、マラソンのようなものでしょう。

60歳定年というゴールと、その報奨金である退職金を目指して、歯を食いしばって走っているわけです。しかし、そのゴールが、先に持っていかれるわけですから、これは大半の人にとっては、まだ走らされるのか、と思うのではないでしょうか。

さらに記事では、以下のように結論付けています。

起業、転職ともに、第二の仕事人生を始めるならばできるだけ早く、できれば40代後半には具体的な準備に着手し、50代半ばまでには実現したほうがよいと私は思います。人生100年時代を迎え、仕事人生も40年弱から60年近くに延びようとしている現在だからこそ、自分のキャリアプランを、これまでとは違う方向から考え直すときに来ているのではないでしょうか。

つまり、社畜生活で疲れ切っている人に、さらに、第二の仕事人生の提案をしているわけです。まあ、この記事の作者に悪意があるわけではありませんが、どうも、仕事と人生を一つのものと考えているようです。

まあ10年から20年程度の社畜生活は、経済基盤を固めるまでという目標を持っているのなら、ぎりぎり耐えられる長さでしょう。耐えながら貯蓄と投資に励み、できれば40歳前後で、社畜生活をおさらばして、質素に暮らすほうが人間的です。

貯蓄体質の人は、節約生活は苦になりませんから、その後のリタイア生活も、苦にはならないはずです。たっぷりの時間を使い、図書館などの公共施設を使い倒して、マイペースで生きていけば、病気になる確率も下がります。

社畜生活の息苦しさに比べれば、節約生活などは楽勝です。